第8章 お正月 <双子6歳>
ミュージアムカフェで一息ついた5人。
「なんか凄かったね!」
「あんな大きいもの、どうやって運んだんだろうね?」
智と和也は翔が持っていたパンフレットを見ながら感想を話していた。
「やっぱ広いね、大英博物館は…」
マグに入った紅茶を飲みながら呟く翔。
「翔さん、疲れた?」
「ううん、そうでもないよ。
ほら、あいつらのあの顔、見てご覧よ。
嬉しそうにさ、話してて。
あれ見たら疲れなんて飛んでくでしょ?」
「ほんと、さともかずも楽しそうに見てたもんね。
もっとはやくギブアップかとおもったけど」
雅紀が笑いながら言う。
「まぁ…どこまで覚えてるかはわからないけど、それでも行ったっていう思い出自体がきっと大事なんだよね?」
潤も優しい目で子どもたちを見ながら言う。
「そうそう。別にさ、勉強とかじゃなくて経験が大事なんだよね?」
翔も頷きながら言う。
そんな3人にアップルジュースを飲み終わった智と和也が声を掛ける。
「ねーねー、翔ちゃん、あれみて!」
カフェから見えるショップを指差す二人。
「あのね?あそこにさ、見えない?
アヒル隊長がいるの!」
「へ?アヒル隊長?」
聞いていた雅紀が素っ頓狂な声を上げる。
「うん、あれ!うちのお風呂にいるアヒル隊長!」