第8章 お正月 <双子6歳>
ロンドンに来て5日目の朝。
すっかりB&Bに慣れた智と和也は元気にダイニングに入り自分たちから「Good Morning!」と挨拶している。
マダムも可愛い双子にすっかりメロメロと言った様子で二人の挨拶にハグで応える。
簡単な英語で二人に質問してそれに単語で返す双子たち。
通じるたびににこっと笑い、ドヤ顔で3人を見る。
ちょっと難しい時は3人に聞きながらそれでも一生懸命返そうとする姿はなかなか頼もしい。
「さとー!今日はわかってくれたよ!」
「かずー、僕も出来た!」
二人して今日は何の英語が通じたかを報告し合ってる。
シリアルやトースト、ヨーグルトにフルーツなどそれぞれ食べたいものを食べながら今日はどうしようかと話し合う。
「やっぱり大英博物館?」
潤が言うと智がびっくりした顔で言う。
「え?ダイエーの博物館があるの?」
「イギリスにダイエーがあるの?」
智の一言に和也も不思議そうな顔で言う。
「でもね、もうすぐ駅前のダイエーは
イオンになっちゃうって慧先生言ってたよ?」
「うん、お散歩のとき言ってたよね?和?」
どんどん脱線していく双子の話に苦笑しつつ翔が訂正する。
「二人とも?
大英博物館っていうのはねロンドンの有名な博物館なんだよ?
うちの側のスーパーのことじゃないんだ。
昔の日本人はね、イギリスのこと大英帝国って呼んでたの。
今でもイギリスのことを英国って言うしね?」