第8章 お正月 <双子6歳>
「へ?そうなの?ダイエーじゃないの?」
「違うんだ…ふふ、面白いね、智?」
「うん、面白い!パパ。そこ行ってみたい!」
子どもたちにとって面白いところとは言えないかもしれないがまぁそれもいいかと言うことでとりあえず大英博物館に行くことになった。
「ついでだし、自然史博物館とかもいいかもね?」
雅紀がもしもの時の次善の策として別の博物館を提案する。
「あーいいかも。あそこの方が子どもは面白いかもね?」
この日の行動が決まったところで、朝食を済ませ、出掛ける準備をして、斗真にメールを入れておく。
しばらくして帰ってきたメールを見て感謝の気持ちでいっぱいになった翔。
今日は一緒には来れないみたいだけど明日のカウントダウンは一緒に迎えることになりそうだ。
双子は既に準備が終わっているようで…。
「潤くん!はやくはやく!」
「まーくん!ダイエーダイエー!」
「だーかーらー、スーパーじゃないよ?」
「「わかってるもん!」」
双子たちと雅紀の漫才のような会話を聞きながら翔もバッグに手を伸ばす。
「ねぇ、翔さんのバッグってさ、なんでそんなにおっきいの?」
潤が不思議そうに言う。
「だから…色々入ってるの!子どもがいるんだからさぁ」
「いや、翔さんのバッグ、学生時代からデカいじゃん?」
「もういいだろ?」
こちらもまたいつも通りのやり取りをしている。
そんな翔の元に双子たちが飛びついて催促する。
「ほら、行こう?
ここでこんなに暴れたら迷惑になるよ?」
翔の一言で5人はB&Bを後にした。