第8章 お正月 <双子6歳>
「翔さん、酔っぱらったの?
随分、まわるの早いじゃん?」
「んなことねーよ。
でもさ、俺が勢いで引き取ったけど結局一番面倒見てくれてるの潤じゃん?
これで正解だったのかな…?」
「やっぱり酔っぱらってるじゃん。
残念だけど…少しも後悔してないよ?
俺、そもそも結婚願望ないし。
うち、離婚家庭だから…結婚にいいイメージないんだよね。
でも子どもは好きだから…。
翔さんの期待に応えられなくて申し訳ないけど…俺、めっちゃ幸せだよ?」
潤が手元のビールを煽りながら一気に言う。
「ほんと、翔兄ってさ、余計なこと考えるよね?
そりゃさ、確かに子どもがいない生活って考えたことあるけど…。
でもさ、俺、そんな未来より今の方が幸せだよ。
毎日たのしいもん。
それで良くない?」
「でも…」
なおも声を上げる翔に雅紀が言う。
「それこそ、翔兄、結婚したい人がいるなら結婚していいよ?
双子たち、俺が引き取るし」
「ばか!何言ってんだよ!そんな相手いないし…。
あいつらは俺の大事な息子なんだから…」
「バカはどっちだか?それはおれや潤にとっても一緒だよ。
ね?潤?
智も和も俺たちの大事な息子だよね?」
「そうそう、翔さん一人で父親やってるつもり?
だとしたら随分じゃない?それ」
潤が怒ったような拗ねたような口調で言った。