第3章 a day in our life <双子2歳>
「じゅんくん、あん!」
「『あん』って、苺くれるの?」
「ん、どーじょ!」
「智、大好きな苺なのに?」
「ん♡」
満面の笑みで苺を差し出す智。
潤が開けた口に放り込む。
智が握っていたので生温く少しつぶれた苺。
潤にとってはなによりも甘い苺に感じられた。
「智、ありがとう。やさしいね」
智の意図に気づいた潤は素直に智を褒める。
少し寝癖のついた智の髪を撫でる潤。
二人揃ってニコニコしている。
そこだけ日だまりがあるかの様にあたたかな空気が漂っていた。
その様子を少し羨ましそうな顔で翔と和也が見ていた。
「ほら、早くしないと時間になるよ?
俺、もう時間だから行くね!
後片付けよろしく!」
暖かい空気を感じながらも雅紀が食卓に声をかける。
そしてそのまま、一足早く家を出た。
その雅紀をみて我に返る、翔。
双子たちに食事の続きを促す。
「智?もうおしまい?」
食の細い智。
和也もさして食べないが輪をかけて食べない。
たいした量が乗っていない朝食を残した。
「どっか具合悪いの?」
心配そうに聞く翔。
「しゃと、げんきよ〜」
「まぁ雅紀がなにも言ってないし大丈夫か?」
翔は自分を納得させるように呟いた。
「ほら、二人とも保育園の準備するよ」
そう言って二人を椅子からおろし、保育園への登園準備を始める。
同時進行で翔自身の出勤準備も…。
こんな生活も1年以上になると大分慣れたものである。
二人分の連絡帳に今朝の様子や連絡事項を書き、双子のリュックに入れる。
双子たちは潤の手で着替えや歯磨きを終え、それぞれリュックを背負って準備万端。
玄関で父親を待つ。