第3章 a day in our life <双子2歳>
出来るだけ大人二人は朝食の時間に揃うようにしている。
それが難しい日があるのも承知だが、なんとかやりくりしている。
どうしようもない時は前日に用意してその場にいる大人が楽なように手筈を整えることにしている。
今はまだ手のかかる双子を抱え、仕事をしている大人たち。
自分たちの事情で子どもたちに寂しい思いをさせたくないのでその辺はものすごくきっちりしている。
「さと~これどうぞ~」
苦手なミニトマトを智に押しつけようとする和也。
「和?そのトマトは和のでしょ?
智は自分のがあるから、どうぞしないよ?」
「むー」
父親に止められてむくれる和也。
素早く父親の皿に目をやり、そこにミニトマトが無いのを確認すると作戦変更。
可愛い顔でにこりと笑い、父親に向かって
「しょーちゃん、あーん」と言う。
反射的に口を開けた父親の口に手にしたミニトマトを突っ込む。
さすがに口に入ったものを出すわけにいかず、咀嚼する翔。
飲み込み、困った顔で息子を見る。
「和?これ、反則じゃない?
ミニトマトさん、パパじゃなくて和に食べて欲しかったってよ?」
「ないよ~とまとさん、かず、きらいよ~」
それを見ていた雅紀が「和、頭いいじゃん」と呑気に褒める。
それを見ていた智がおもむろに皿の上の苺を手に取り隣に座る潤を見る。