第8章 お正月 <双子6歳>
潤に聞かれた雅紀は素直に答える。
「そうだなぁ…この近く、確かポールスミスがあるんだよ。
ちょっとそっちも行きたいかも?」
3人の中でももっともセンスがよくおしゃれな雅紀。
その雅紀のお気に入りブランドのひとつであるポールスミス。
その1号店がコヴェント・ガーデンにあるらしい。
それを聞いた潤も興味を示した。
「二人ともたまにはゆっくり買い物してきたら?
智たちと一緒だと難しいだろ?」
翔の言うことは一理ある。
子どもにとって親の買い物ほどめんどくさいものはない。
そんなのに付き合うぐらいなら遊んでいたいのだ。
それがわかるから普段、出掛けてもなかなか自分たちの買い物が出来ない3人。
仕事帰りや平日の休みなどを利用して買ってくるなんて言うのが日常茶飯事で最近ではそれも当たり前だと若干諦め気味になっている3人。
だからこそ、せっかくの海外だし自分の時間を使ってほしいと思ったのだ。
そんな翔の気持ちがわかったのか二人も遠慮しなかった。
「じゃぁ、おれも雅紀と一緒に行く。それでいい?翔さん」
「もちろん、行ってこいよ。
おれはこっちで楽しんでくる。
なんかのネタになるかもしれないし?」
「ありがとう、じゃ、俺たちも楽しむわ。
あ、翔兄、二人の写真、よろしくね?」
別行動をしても双子のことが可愛くて仕方ない雅紀は当然のように翔に言う。
「もちろん!たくさん撮ってくるよ?」
そう言って6人は二手に分かれた。