第8章 お正月 <双子6歳>
交通博物館の前まで歩いていきながら斗真が簡単にガイドしてくれる。
「ここ、これが交通博物館。
もともとはコヴェント・ガーデンの花市場の一部だったところなの。
まさにマイ・フェア・レディの舞台ね?」
「ここがそうなんだぁ」
映画好きの潤はちょっと感激した面持ちでその場に立っていた。
「ほら、写真撮ってあげる。みんな並んで?」
斗真の声に5人は素直に並んで、カメラを預けた。
なかなか家族5人で写真に写ることはないからこういう時は素直に撮ってもらうことにする。
「ありがと、斗真!これすごい嬉しい。次、斗真ね?」
翔は斗真からカメラを受け取りその背中を押して双子の方に向かわせる。
「とーまー、一緒に撮ろう?」
「ね?一緒にお写真しよ?」
智と和也が背中を押された斗真の元に駆け寄りその腕を撮る。
先ほど立ってた位置に立った3人。
それを嬉しそうな顔でファインダーを覗いた翔がシャッターを押して、記録として焼き付ける。
そうして何枚か写真を撮ると交通博物館の中に入っていく。
「二人ともどうする?」
翔は雅紀と潤に声を掛ける。
斗真は双子と一緒に交通博物館を廻る気満々でいる。
ただ雅紀や潤たちには退屈かもしれないので翔は二人にどうするか聞いたのだ。
「雅紀、どうする?」
潤が雅紀の意見を聞いた。