第8章 お正月 <双子6歳>
「なに?潤ちゃん買うの?」
「ばーか、買うわけ無いじゃん」
雅紀の揶揄いに潤が真面目に返す。
「翔兄は?買うの?それ」
「うーんどうしよかな?ってかそろそろ時間だな。出よ?」
待ち合わせに遅れるわけにいかないので5人は店を後にした。
割と大きめの道沿いに進んでいくと急に開けた場所がある。
こここそが映画にも出て来たCovent Garden。
その一角に斗真が立っていた。
「斗真、ごめん!もしかして待たせた?」
「いや、ちょっと早く着いちゃっただけ。
お、おはよう、智くん、和くん。
ロンドンは楽しい?」
「斗真だぁ!おはよう!昨日ね、僕、くまくん買ってもらったの」
智が嬉しそうに報告している。
「おはよう、斗真。和ね、昨日、兵隊さんみたんだよ!」
和也も負けじと報告している。
智の口から出て来た【くまくん】がなんのことかは判らなかった斗真。
でも和也の言う兵隊さんは判った。
「そっかぁ、衛兵交代みてきたんだ」
「うん、えーへーこーたい、すごかったよ」
和也は嬉しそうに笑った。
「で、今日はどうするの?斗真。どこを案内してくれるの?」
翔が斗真に聞く。
「うん、とりあえず交通博物館なんてどうかな?っておもってね。
すぐそこだし、バスとか地下鉄とか色々あって男の子にはそこそこ面白いと思うんだ。
雅紀さんたちはもし興味ないようであればこの辺、おしゃれな店が多いからそっちに行くのもありだと思うしね」
斗真がこれからのプランの一部を説明した。