第8章 お正月 <双子6歳>
「さと、ここなら大丈夫?」
「ん、大丈夫。ごめんね、まーくん」
ひとつ息をついた智。
「で、なにがやだったの?あっ、もしかしてチーズの匂い?」
雅紀が気がついたのか智に聞く。
「なんか臭かったの。あれ、チーズの匂いなの?」
「うん、チョコレートや紅茶だけじゃなくてチーズの種類も多いみたいだよ。
ヨーロッパはチーズが豊富だからね。
中にはきつい匂いのもあるしね?」
「なんかね、臭くて、鼻摘んだんだけど苦しくて…」
「そうだよね、鼻摘んでたら辛いよね?気分はどう?大丈夫ならみんなと合流しようか?」
「うん、和と一緒がいい」
「OK、じゃ電話するね?」
智の手を握ったまま素早くスマホをタップする。
Skypeを立ち上げ、潤に連絡した。
「もしもし?潤?」
『雅紀?智は大丈夫?』
「うん、チーズの匂いがね、ダメだったみたい」
『あぁ、確かにあれは好き嫌いがわかれるね。どうする?どっかで合流しようか?』
「うん、そっちは買い物終わった?」
『うん、まもなく終わる』
「じゃぁさ、どっかカフェで落ち合おう?」
『ちょっと待って、翔さん?カフェで落ち合おうって。うん、うん、わかった。
雅紀、4th Floorにディズニーカフェがあるからそこで待っててって』
「お、それは智のテンションがあるね。わかった、そこで待ってるよ」
雅紀はスマホをタップして会話を終了すると智の顔を見て、次の目的地を告げた。