第3章 a day in our life <双子2歳>
一方、潤の部屋。
こっちはそろりと小さな影がベッドに忍び寄る。
そっとベッドに上がり眠るイケメンの瞼に手を伸ばした。
「ねぇ、ゆきだるま、つくろぉ」
残念ながら今の時期、雪だるまは作れない。
というかそもそも、この地域で雪だるまが作れるほど雪が降ることは稀である。
「ねぇ、ゆきだるま、つくろぉ?」
再度声をかけながら無理矢理、瞼を指で開いた。
「んー、なに?雪なんてないよ」
顔の濃いイケメン、ぶっきらぼうな物言いで答える。
この起こし方に慣れているのか起きる気配はない。
「じゅんくん、おーきーてー
そらもおきてるよー」
声をかける男の子は先日見た映画の影響でこんな起こし方をする。
彼の最近のブームらしい。
なかなか起きない、イケメンにしびれを切らしたのか…双子の兄と同じ起こし方を始める。
そう…冷たい手を胸元に差し込んだ…。
「うわぁっ!和、なにすんの?」
思いっきり跳ね起きたイケメンの勢いでベッドから落ちそうになった男の子を慌てて抱きとめた。
ようやく起きた、じゅんくんと呼ばれたイケメン。
名前は松本潤。
職業、弁護士。
この家に住む家族の一人。
双子たちの叔父にあたる。
抱きとめた甥っ子が彼に言う。
「まーくん、ごはんよーって」
あぁそういうことね。
事態を理解した潤。
「わかったよ、いこう」
そう言って甥っ子を抱き上げ、階下へと降りた。