第8章 お正月 <双子6歳>
「んー潤くん!」
「僕、まーくん!」
智は潤を、和也は雅紀を指名する。
「翔さんじゃなくていいの?」
潤が2人に聞くと少し悲しそうな顔をして2人が首を振る。
「パパの肩車…難しいの」
「落ちちゃいそうなの」
和也と智がそれぞれ言う。
雅紀はそれを聞いて吹き出した。
「あははは、そうだよね、翔兄、肩、撫でてるもんね。
乗りづらいよね」
「雅紀…笑いすぎ。翔さん、地味に傷ついてるよ?」
「だって…ねぇ?普段、スーツはパッドが入ってるからいいけど…私服だとやっぱり凄い目立つじゃん」
笑いが収まらないといった風情の雅紀。
翔はそんな弟を横目に少し拗ねたような口調でいう。
「いいよ、別に。おれカメラ担当するから。
2人とも、子どもたちを頼むね」
「そんな拗ねないでよ、翔さん」
潤が慌てて言う。
「別にー、気にしてないしー?」
翔は気にしてますと言わんばかりにふざけた口調で潤に返す。
「雅紀、なんとかしろよ?」
潤は少し険しい顔で雅紀に言う。
「ほら、智おいで。肩車しよう?」
「あっ、その前に2人の荷物」
翔が子どもたちからリュックサックを受け取る。
拗ねた顔をしていてもこの辺は抜かり無いのがさすがは翔といったところかもしれない。
「ほい、和おいで」
雅紀が和也を手招きし肩に乗せる。
智も和也も慣れた調子で2人の肩にのり頭に手を置いてパレードが到着するのを待った。