第8章 お正月 <双子6歳>
「ふたりともーダッフィーはお留守番させとけよ」
雅紀が腕にくまのぬいぐるみを抱く双子に声を掛ける。
「えーダッフィーかわいそうだよ?」
「ダッフィーだってお外行きたいと思うよ?」
智と和也は口々に言う。
「でもそれでダッフィーが迷子になったらかわいそうじゃない?」
翔が最もなことを言う。
「ダッフィー、飛行機で疲れたと思うから今日はねんねさせとこ?」
潤がそういうと渋々といった様子で2人はクマのぬいぐるみをベッドに寝かせた。
「ダッフィー、お留守番しててね?」
智がくまのぬいぐるみを撫でながらいう。
2人のぬいぐるみにはそれぞれどっちのかわかるように腕に青と黄色のリボンが付いている。
「2人でねんねしててね?」
和也が智のぬいぐるみの横に黄色いリボンのついたぬいぐるみを寝かせた。
「ほら、ふたりとも行くよ?マフラーした?」
「てぶくろもしとこう?」
翔と潤が2人に防寒の準備をする。
日本に比べると湿度は高いロンドン。
いつもはかさかさしがちな2人のほっぺがいつもよりはだいぶマシなのがありがたいと思った雅紀。
「あと、クリームもね?」
それでも念のため薄く保湿クリームを2人の顔に付けた。
「よし、準備完了!行こう!」
雅紀の元気な声に智と和也が笑顔で答える。
「うん!お馬さんみえるかなぁ?」
「音楽、楽しみだね?」
智と和也の楽しそうな声を聞きながら5人はB&Bを出た。