第8章 お正月 <双子6歳>
「で、今日はどうするの?」
雅紀がトーストを食べながら翔に聞く。
「どうしようか?どっか行きたいところとかある?」
翔が智の口についたヨーグルトを拭きながら潤たちに聞く。
「翔さんは?あれだけチェックしてたじゃん?ガイドブック」
紅茶の入ったカップを持った潤が逆に翔に聞く。
「時間的にみてこのあと準備して行けば衛兵交代、見えるかもよ」
翔が時計を見ながら言う。
「あー、なんかそれイギリスっぽくない?」
雅紀が言う。
「まーくん、えーへーこーたいって何?」
和也がトーストの最後の一口を頬張ると初めて聞いた不思議な単語について聞く。
「この近くにねバッキンガム宮殿っていう女王様のお城があるの。
そこを守る兵隊さんの交代の様子を見られるんだって」
「兵隊さんが行進してきてお城の前でお昼前に交代する儀式があるんだよ。
音楽隊が一緒でいろんな音楽を演奏したり、馬が先導したり、なかなか面白いみたいだよ」
雅紀の説明に潤が補足する。
「翔ちゃんたちは見たことあるの?」
智が興味を持ったのか大人たちに聞く。
「翔兄はあるんでしょ?俺はないよ。だから見てみたいなぁ。潤は?」
「俺は一度夏に見たかな?ちらっとだけね」
「智と和はどうする?」
「みたい!」
2人とも興味津々で返事をする。
「よし、じゃぁ決まり。
このあと用意して歩きで行くか?
グリーンパークの先だしね?」
翔の一声でこの日の最初の予定地は決まった。