第8章 お正月 <双子6歳>
「東山さんから坂本さんに?」
「そう、だから気にしないで。
おれも楽しませてもらうから」
斗真の笑顔は至極さわやかなものだった。
「とりあえず帰るわ。いつまでもこんなところいたら、双子が風邪ひいちゃうよ」
「さと?起きれる。斗真お兄ちゃん帰るって」
雅紀が腕の中で眠る智に話しかける。
「雅紀くんいいよ、せっかく寝てるのに」
「このまま別れちゃうよりちゃんとわからせとかないとあとが大変なの」
潤が斗真に説明する。
「お、和、起きた?」
「ん、ぱぱ?」
「ほら、おいで?」
潤の腕から和也を受けとる翔。
「斗真、今日は帰るって」
「え?お泊まりじゃないの?」
この数時間ですっかり斗真に慣れた和也が泣きそうな顔で言う。
「今日は一旦、家に帰るね。ロンドンにいる間は何度も会えるから。ね?」
「うーー」
納得しない表情の和也を翔が説得する。
「かーず?ワガママばっかり言わないの。
斗真だってやることあるんだから…ね?」
「…わかったもん。また、遊べる?」
「大丈夫、遊ぼうね?」
斗真は和也の頭をポンポンと撫でる。
智の方を見るとぐっすりで起きる気配はない。
「またね?智くん?」
斗真は小声でいうと、そのまま車に乗った。
それを見送り5人は部屋に戻る。
ぐっすり眠る智と、部屋に戻るまでの間に寝ちゃった和也をベッドに寝かせる。
「シャワーどうする?」
一応、という感じで聞く潤。
「明日でよくね?」
多少疲れの見える顔で答える翔に頷く二人。
そのまま3人もベッドに寝転ぶとそのまま眠りの淵に落ちていった。