第8章 お正月 <双子6歳>
会計を終えて外に出た6人。
帰りはそのままPiccadilly Circusに向かう。
「サクショー明日はどうするの?」
「まだ決めてないや」
翔の答えに腑に落ちないといった顔をする斗真。
「珍しくない?決めてないなんて。
あれだけがっちりスケジュール決めてないとダメって言ってたじゃん?」
「ははは、あの当時はね?
子どもがいるとさ、予定通りにことが進むなんて奇跡みたいなの。
この6年で嫌ってほどそれを学んだから。
明日は明日の風が吹くじゃないけどだいぶのんびりできるようになったのよ、これでも」
「へー変われば変わるもんだ」
食事が終わるころにはすでにうつらうつらし始めた智と和也を潤と雅紀がそれぞれ抱っこして翔と斗真の後を追う。
こういうとき小さくって良かったと智たちには聞かせられないようなことを思う翔たち。
「地下鉄で一駅だから…。大丈夫?」
斗真が潤たちに声を掛ける。
「もちろん」
「これも慣れたもんって奴だよね?翔さん」
「そう、これも日常…なんだよ、斗真」
「すっかりいいパパじゃん、サクショー」
斗真が感心したようにいう。
「もしそう見えるとしたら…雅紀と潤のお陰だよ。
2人がいてくれてホントに良かったて日々思うよ。
俺一人じゃとっくにつぶれてるからね」
翔は斗真に正直な気持ちをそのまま伝えた。
後ろでそれを聴いていた雅紀と潤は照れくさそうに顔を見合わせ、腕の中の大事な宝物を抱き直した。