第8章 お正月 <双子6歳>
ジェイドガーデン(翠園海鮮酒家)というその店は、たくさんの中国人でにぎわっていた。
「ここね、ほんとおいしいの。
しかも価格も手頃だしオーダーは紙だから楽なの。
適当に頼んで大丈夫?
子どもたちアレルギーとかない?」
斗真が翔に確認するように言う。
「2人ともアレルギーはないから大丈夫」
雅紀が答える。
「ただ…いつもと少し環境が違うから甲殻類は避けた方がいいかも?」
「そうだね、2人とも疲れてる時に甲殻類食べると少し肌が荒れるもんね」
普段から接する時間の長い潤がつけたした。
「そっかぁ…じゃぁ…」
言いながら斗真がオーダーシートに次々とチェックを入れ数字を書き入れていく。
「あっ、斗真、2人とも割と小食だから…」
翔が次々と書き込まれていく数字に慌ててストップをかける。
「了解!んじゃまずはこんなもんかな?飲み物とかどうする?アルコール頼む?」
「今晩はやめとこうかなぁ」
潤が言うとそれに雅紀と翔も倣う。
初日で疲れていることもあり、アルコールに強い方の3人も用心することにした。
もちろん車の斗真も飲めないので中国茶をオーダーして6人は飲茶の到着をまった。
しばらくして運ばれてきた数々の飲茶。
海鮮が自慢の店なので甲殻類の飲茶も一部頼んだがそれは大人たちが食べ、智と和也はチャーハンや春巻きと言った食べ慣れたメニューを中心に食事を楽しんだ。