第8章 お正月 <双子6歳>
ふたりの迫力にたじろいだ斗真がふたりに慌てて謝った。
「ごめん、ごめん、確かにちびは失礼だったね?ごめんね、智くん、和くん」
「んふふ、いーいーよー」
「ねー?いいよ、ごめんなさいできたもんね?」
くすくす笑いながら言う二人に翔が言う。
「二人とも!それ、大人に対して失礼だよ。
悪いなぁ斗真。
ちょっとふたりとも【ちび】って言葉に敏感なの」
「ふたりとも保育園じゃ背の順、前の方でクラスでからかわれたらしくて」
潤がフォローするように付け加える。
「そうなんだぁ、それでか。
んじゃ1個いいこと教えてあげる!」
斗真がしゃがみこんで二人を見る。
少し小声で二人に囁いた。
「俺もね、幼稚園の時、ずーっと背の順、一番前だった」
にっこりと笑う斗真。
「ほんとに?」
智が疑わしげな眼で見る。
それはそうだ。
今の斗真の身長は翔たちよりも高い。
にわかに信じがたいのも無理はないのかもしれない。
「ホントだよ、幼稚園の時、『まえにならえ』するといつもこうだったもん」
そういって両腕を腰に当てる。
『まえにならえ』の先頭にポーズ。
「和と一緒だ。じゃ、ぼくも大きくなれる?」
和也が眼をキラキラさせながら斗真に聞く。
「そうだね、きっと大きくなるよ」
「僕も?」
そんな2人の様子をみて智が聞いてくる。
「うん、きっと大きくなるよ。
兄貴はそんなでもなかったけど智美さんは割と背が高かったし」
話を聞いていた潤が口を挟んだ。