第8章 お正月 <双子6歳>
色違いのおそろいのリュックサックを背負い、同じく色違いの洋服を着た二人がくまのぬいぐるみを抱えてる姿は
端から見ても可愛らしいのか、すれ違う人たちがにこにこしながら見ている。
そこに寄り添う3人。
翔は帽子を目深に被り、伊達眼鏡を掛け、目立たないようにしているつもりだが…いかんせん横にいるのが潤と雅紀。
目立たないわけがない。
が…子どもたちがいるせいか、案外皆、声をかけることなくスルーしてくれる。
これには翔もホッとしていた。
「まだ時間あるよ?どうする?」
雅紀が翔と潤に声を掛ける。
「どうしようか?智、和、お腹空いてる?」
「ううん、平気ー」
「さとーみて!飛行機!」
「かずーすごいよー!ダッフィーの飛行機!」
「ホントだー!僕たちのと一緒!」
二人とも窓の外に停まっている特別仕様機に夢中だ。
「なんか盛り上がってるね…」
翔はそんな二人を見つめてる。
「ほんとだね。
まぁ今のうちにはしゃいどいてもらった方がいいよね。
機内で昼寝させないとまずいでしょ?」
「だな。ふたりとも、あっちにキッズコーナーがあるみたいだよ?」
翔が二人に声を掛ける。
まぁキッズコーナーと言っても柔らかいマットレスが惹かれた空間なんだけど子どもに掛かれば、そんな空間さえも遊び場になるからすごいと思う。