第8章 お正月 <双子6歳>
無事に出国審査を終え、免税店が並ぶエリアを歩く5人。
ロンドンまでの飛行時間はおよそ13時間。
途中、昼寝をさせるにしても十分すぎる時間があるため機内で読むための本を選びにきた。
数は多くないがそれでも智と和也の興味を引く本がいくつもあった。
あっさりと決めた和也と迷い続けた智。
ふたりとも結局、付録付きの雑誌を選んだ。
「智も和もこれ買ってもいいけど付録は飛行機の中では作れないよ?
それでもいいの?」
「えー?なんで作れないの?」
智が納得いかないとばかりに翔に聞く。
「それはね、飛行機の中にはハサミが持ち込めないからだよ」
潤が二人の後ろから声を掛ける。
「それでもいいならそれ、買うから頂戴?」
雅紀が手を出す。
結局、智も和也も付録が作れないことを納得した上で雑誌を買ってもらい、嬉しそうに自分たちのリュックサックに詰め込んだ。
「二人とも、ダッフィー失くさないようにしなよ」
リュックに詰め込む二人に潤が声を掛ける。
「うん、大丈夫」
「ダッフィーここにいるよ」
二人は小さなクマのぬいぐるみを抱いている。
数年前、初めての海外旅行で出掛けたハワイで買ったダッフィーのぬいぐるみ。
二人に取っては旅行のお守り代わりになっている。
国内で旅行する時も必ず連れてくるくまのぬいぐるみ。
当然、今回もお供することになった。