第8章 お正月 <双子6歳>
そんな二人だから、今の二人の反応も潤は十分に理解出来た。
どちらかと言うと視覚情報が優位な智は看板などを目印に道を覚えているようである。
地図なんかを読み込むのも上手い。
目印を見つけてそこから俯瞰出来るから、幼いながらも地図があると迷わないし、どこかに行く時も目印を予め知らせておけば安心して、送り出すことが出来る。
一方和也は聴覚の方が優位である。
耳から得た情報を記憶していることが多い。
だからか、ニュースで人工衛星のはやぶさの話題が出たとき、新幹線のはやぶさと混同しているきらいはあったが…それでも和也の口からイトカワという単語が出てきたときにはかなり驚いた。
同じ番組を見ててもそれぞれ惹かれる場所が違うこともよくある。
その割には二人して楽しそうにキャッキャ、キャッキャと話している。
なんだかんだあってもお互いがお互いを補完し合う大事な存在なんだと見ていてわかる。
車の窓から見える風景に飛行機の機影が増えはじめた。
羽田空港に到着した5人は予約していたエリアに車を停め、トランクからスーツケースを出す。
もうすぐ1年生になる二人。
以前持っていたディズニーの小さなキャスターバッグから本格的なスーツケースに買い替えた。
翔たちが出張でも使えるように機内持ち込み可能なサイズのスーツケース。
智は青、和也は黄色とそれぞれお気に入りの色を選んだ。
「よし、忘れ物はないね?じゃぁ行こうか?」
翔の声に智と和也も自分のスーツケースを引っ張って歩きはじめた。