第8章 お正月 <双子6歳>
全ての準備が整って持ち物の最終確認と戸締まりをチェックしたふたりは玄関の鍵を閉め、家のポーチに向かう。
これから約1週間、家族で留守にする。
今日は潤の運転で空港に向かった。
子どもたちがまだ小さいので日系の航空会社を選んだ結果、羽田からのフライトになる。
「なんかさぁ、羽田からって言うと国内の気分になるよね」
雅紀が隣で運転する潤に言う。
「あ、なんかわかるそれ。海外は成田、国内は羽田の意識、案外、根強いよね?」
「まーくん、今回は前のところと違うの?」
二人の会話を聞いてた和也が聞く。
そこに、じーっと外を見ていた智が言う。
「なんか、翔ちゃんの会社の方に行ってるよ」
「お、さと、正解!今回はね、羽田から飛ぶよ。
だから千葉方面じゃなくて都内の方に向かってるの」
「智よくわかったね?なんで?」
潤が目線は前に向けたまま聞く。
「うんとねぇ、看板!」
「看板?」
「なんか目印にでもしてんのかな?」
智の答えを不思議そうにおうむ返しする雅紀となんとなく納得した風の潤。
普段から子どもたちと接する時間の長い潤。
そのせいか二人の特徴もよく見える。
双子だけど似てない二人。
それぞれ得意分野が違う。
一卵性ならそっくりなんだろうけどこれが二卵性ゆえだろうと思ってる。
同じ歳の二人の子どもがいる感覚が一番しっくりくる二人だから…。
それぞれの個性がとても面白いと思っている。