第8章 お正月 <双子6歳>
「潤くん、一緒に入ろう!」
和也がすかさず誘う。
「潤ちゃん、頼んでもいい?」
雅紀がご飯をよそいながら聞く。
「わかった。んじゃ行こ?あっ、雅紀、潤ちゃんじゃねぇから。年上を敬えよ」
「だって潤ちゃん、義弟じゃん」
雅紀がニッコリ笑いながら言う。
「ってか、どっちでもよくない?」
相変わらずの二人に呆れたように翔が言う。
「よくないって」
潤が呟く。
「ねー潤ちゃん、いこー?」
智がニコニコしながら言う。
「ほら、双子までこうだよ?これダメじゃない?」
潤が言いながら風呂場に双子を連れていった。
「ああいうところが可愛いからやめられないんだよね?」
「ほんと、潤って顔に似合わず可愛いところがあるよなぁ」
ダイニングに残った兄弟が笑いながら言った。
翔が冷蔵庫を開けながら雅紀にビールがいるか聞く。
「まだ、いいや。智たち診てからにするよ」
「あっそうか…。俺、先に貰ってもいい?」
「もちろん、仕事納めしたんでしょ?遠慮なく飲みなよ?」
「ふふ、悪いね?んじゃお先に」
翔は缶を開けながら戻ってきた。
美味しそうに缶の中身を煽る翔を雅紀がニコニコしながら見ている。
櫻井家につかの間の静かな時間が流れていた。