第8章 お正月 <双子6歳>
早速遊び始めた二人に大人たちが慌てる。
「二人とも?嬉しいのは分かるんだけど…保育園、忘れてない?」
翔が優しく声をかける。
「今日、早お迎えしてあげるからさ、今は朝ごはん食べよう?」
潤も声をかける。
「今日さ、まーくんが送ってあげるからさ、準備しよ?」
雅紀も笑顔で声をかける。
智と和也は顔を見合わせる。
おもちゃは非常に魅力的だ。
出来ればこのまま遊びたい…。
「保育園でみんなに話さなくていいの?」
翔が魅力的な提案をしてくる。
「「あっ!」」
友達に自慢したい…。
子どもならではの心理をついた翔。
そして、一気に気持ちの切り替わった二人は食卓についた。
夕方、いつもより早く迎えに来た潤と帰る双子。
二人の年内の登園は今日が最後なので二人は先生たちに挨拶をする。
「まゆ先生、慧先生、よいお年を…」
「智くん、和くんもよいお年を」
「うん!」
ふたりとも元気に返事をする。
去年は「よいお年を」がなぜか「よいわたしを」になっていて更にそこに「よいぼくを」と返す不思議な可愛らしい年末の挨拶になっていた子ども達。
1年経つと成長するものだと潤は思う。
潤も先生方に挨拶する。
「今年もお世話になりました。来年も宜しくお願いします」
「こちらこそ。あと少しですね。やっぱり寂しいですね」
まゆ先生がしみじみと言う。
あと3ヶ月で卒園だと思うと寂しさがつのる瞬間だった。