第8章 お正月 <双子6歳>
「さて、そろそろやっちゃいますか?」
雅紀が明るく言う。
「だな、ツリーの下にセットだな」
「出してくるね」
潤が納戸に隠しておいたプレゼントを取りに行く。
ラッピングなんて無理だから翔が会社帰りに買った大きなラッピングバッグに入れてリボンをかける。
お店でラッピングしてもらうとその店のロゴからサンタの正体がバレるという事例を聞いた翔たち。
細かいところにまで気を使う。
この努力が効を奏したのか、このあと双子たちは高学年になるまでサンタの存在を信じていた。
翔たちは嬉しいような心配なような複雑な気持ちになったがそれはだいぶ先のお話…。
ツリーの下にサンタからのプレゼントを子ども達の枕元には翔たちからのプレゼントの絵本を置いて準備は完了。
大人たちも適当な頃合いを見て、ベッドに入った。
翌朝、智と和也の歓喜の声で起こされるのは最早毎年の事。
この日もご多聞に漏れず二人の「やったー」という声とパタパタとなる足音で起こされた大人たち。
「パパー!サンタさん来た!欲しかった踏切ステーションくれたよ!」
「僕はE7系新幹線!かがやきだよ!かがやき!智、あそぼう!」
言うが早いか箱から新幹線を取り出す和也。
「うん、かがやき、踏み切りで遊ぼう!」
ニコニコしながら智も興奮ぎみに言う。