第8章 お正月 <双子6歳>
「二人とも、早く寝ないとサンタさん来ないよ?」
翔にそう声をかけられた二人は慌てて寝る支度をする。
「和、たいへん!早くベッド行こうよ」
「うん、智!早く寝ないとプレゼント貰えない!」
顔を見合わせた二人は歯磨きを終えるとリビングにいる3人に声を揃えて言う。
「僕たち寝るね!おやすみなさい」
見事なはもりを見せてそのまま寝室にダッシュしていった。
それを見守っている3人。
もう少ししたらサンタクロースの代理人たちの仕事の時間。
それまでしばらくの間、3人は残ったご馳走を肴に飲みながら穏やかな時間を過ごす。
クリスマスの時期は…子どもたちがこの家に来た時期に重なるから3人ともとても大事にしている。
この冬は…スペシャルなイベントを用意していた。
その前にまずはサンタクロースの代理人だ。
ここ何年かは子どもたちにサンタさんへの手紙を書いてもらっている。
このごろは安定して文字を書けるようになったからいいものの、去年までは3人がサポートしていた。
画用紙に書いたサンタさんへのリクエストをツリーの下に置いておく。
一緒にクッキーと牛乳、そしてトナカイのためのニンジンを置いて寝た子どもたち。
毎年、手紙がなくなり、ニンジンがなくなりクッキーの食べた後と『Thank you !』のメッセージカードが残される。
子どもたちに何歳まで信じてもらえるか…。
実は意地になっている翔たちだった。