第7章 おべんとうばこのうた <双子6歳>
見かねた翔が助けの手を差しのべる。
地図を見ながら智たちに話しかける、
「あのさ、そのものづくりが出来るところ、アスレチックの近くの建物だから途中まで一緒に行こう?
で、どうしてもやりたくなったら、やればいいんじゃない?」
「うん…」
まだ悩んでるようだがそれでも歩き始めた智。
その隣にひなが並び当たり前のように手を繋ぐ。
それをみた隆果も和也の手を取る。
「女の子たちって…積極的なんだね」
子どもたちの様子を見ながら雅紀がポツリと呟いた。
そのまま歩くと建物が見えてきた。
ここで女の子たちとお別れかと思いきや…。
「まるちゃん、やっぱりアスレチックしよ?」
ひなが隆果を誘う。
その声に隆果は和也の手を握ったまま頷いた。
「うん!和くんとアスレチックやる!」
「じゃあ。いこ?」
和也が隆果に言った。
隆果の顔に喜色が浮かぶ。
その様子を見て翔たちは双子が乳児クラスにいた頃の事を思い出した。
わずか3歳の幼子がいった「かずくんがすきなの」っていう一言。
自分が思ってたよりも深い想いがそこにあったのかもしれないと。
子どもというのは大人が思っているよりもずっと成熟しててでもピュアな思いをもっているのかもしれない。