第7章 おべんとうばこのうた <双子6歳>
まゆ先生から午後の集合時間が告げられた。
その時間までに帰りの準備をしてバスに戻っておくようにとのことだった。
まだしばらく時間があるので子どもたちのリクエストを聞いてアスレチックコーナーに向かう。
広い園内を子どもたちを中心に歩いていく。
「さとくーん!」
智を呼ぶ女の子の声が聞こえる。
「あっまるちゃん、ひなちゃん」
智が声をかけてきたクラスメートの名前を呼ぶ。
「どーしたの?」
「あのね、あっちでロウソク作れるんだって!
さとくんたちもやろうよ?」
いきなり女子から誘われる智。
そこに侑李が割り込む。
「ダメ!さとくんは僕と向こうでアスレチックするんだもん!
女の子は女の子同士でやればいいじゃん!」
智の腕をつかんだ侑李が声高に主張する。
ちょっと困った顔の智。
眉を八の字にして悩んでる。
「智はどうしたい?やりたい方に行っていいよ?一緒が良ければ僕も一緒に行くよ?」
積極的な女子にタジタジの智に当然のように手を差しのべる和也。
「うーん」と悩みはじめる智。
基本的に何かを作ることが好きな智。
女子と一緒云々よりも純粋にものづくりをしたい気持ちもある。
他方で和也たちとみんなで遊ぶのも捨てがたく悩み始めた。