• テキストサイズ

パパはニュースキャスター【気象系】

第7章  おべんとうばこのうた <双子6歳>


「智、また泣いちゃったの?」

和也が智の方を見ながら言う。

「また?」

翔が不思議そうに和也が言った一言を拾う。

「うん。智ね、僕に負けるとすぐ泣いちゃうの」

和也がもはや当たり前のことのように言う。

「和くん違うよ、さとちゃんはね誰に負けても泣いちゃうの。
 負けるのほんと、嫌いだよね?」

近くにいた侑李がさらに追い討ちをかける。

一度引っ込んだ涙がまた、智の目を濡らす。

「和のいじわるぅ~。ゆーりのばかぁ~。
 二人ともきらい~~!」

顔をぐちゃぐちゃにして泣く智。
翔が落ち着かせようと間に入る。

「あーあぁ、智くん?泣かないよ?
 みんなビックリしちゃうよ?」

「大丈夫だよ、さとくんパパ!みんな慣れてるから」

新たな声に翔が振り返るとそこにはキラッキラの笑顔の涼介。

「涼介!そう言うこと言わないの!」

すかさず、莉那がたしなめる。

「さとくんは繊細なんだもんね?
 でも、もう泣き止もうか?

 まゆ先生たち、待ってるよ?」

莉那の声に顔を上げた智。

ぐっと唇を噛みしめて頷いた。

さすがに、多くの親たちに見られたところで泣くのが恥ずかしくなったから。

タイミングよく和也がハンカチを差し出す。

それを笑顔で受け取ると小さな声でありがとうと言う智。

みんなで急いで集合場所に向かった。
/ 447ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp