第7章 おべんとうばこのうた <双子6歳>
「そうです、そのエルメです」
大貴ママが笑いながらいう。
「でも、男性なのによくご存知で…」
珍しそうな様子の大貴ママ。
潤が種明かしをする。
「以前、仕事関係で頂いて家に持って帰ったら珍しく智が気に入って…。
智、ほんと食に興味がないから例えお菓子でも気に入ったものがあるのが嬉しくて。
だから僕たちもお店の名前を覚えてたんです」
「それは光栄だなぁ」
大貴ママが笑う。
「今回はマカロンじゃないんですけど、家で焼いてきたのでどうぞ」
そういって綺麗にラッピングされたクッキーを3人に差し出した。
「ありがとうございます!」
雅紀の特徴でもある人当たりのいい笑顔で受けとりながら礼を言う。
「すみません、いただきます」
受けとるとラッピングを眺めたあと、その場で封を開け、クッキーを口にいれる翔。
「うわっ、うめーこれ!」
普段、上品に言葉を操るアナウンサーとは思えぬ言葉づかいで感想を叫ぶ翔。
その姿に莉那たちが笑う。
潤はというと一口食べてこちらも笑顔。
「うわ、すげ!さすが本職!
これどうやって作るんですか?
こんど、教えてもらえませんか?
双子にも食べさせたいので!」
櫻井家の料理番長の血が騒ぐようで
早速、お菓子の先生を見つけたとばかりに
交渉に入り始めてた。