第7章 おべんとうばこのうた <双子6歳>
広場に向かって二人で歩く。
途中、木から落ちる葉っぱを見て智が言う。
「潤くーん、見て!葉っぱの雨!
みんなにも見せてあげたいなぁ」
目をキラキラさせる智を眩しい目で潤がみている。
『みんなにみせてあげたい』
その一言に心優しい子に育ってくれて嬉しいと心から思う。
翔たちからは彼女つくんないの?って聞かれることもあるけど…正直智や和也との日々の方がずっと大切だと思ってる潤。
故に今のところ特定の彼女を作る気も結婚する気もない。
「多分、雅紀も一緒だろうな…」
小さく呟く。
その声が聞こえたのか?智が潤を見つめてる。
穢れのない綺麗な眼差し。
どうかこのまま、成長してくれとおもう。
一番近いところで見ているから…。
智は潤の傍に駆け寄ると、潤の腕に掴まる。
「潤くん?ねぇ、和の所に行こ?」
小首を傾げて言う姿が余りにも可愛くて思わず抱き上げた潤。
「潤くん!降ろして!お友だちに見られちゃう!赤ちゃんって言われちゃうよぅ」
半泣きの智がかわいったけどさすかにまずいと思った潤は、ごめん、ごめんと言いながら降ろした。
普段は甘えん坊なのに周りを気にするようになったんだと改めて気がついた。
「よし、行こ!」
差し出した手をぎゅっと握る小さな手。
子離れ、出来るかな?俺…。
ちょっと不安になった潤だった。