第7章 おべんとうばこのうた <双子6歳>
一方、智は土台選びからじっくり。
まずは缶バッジにするかキーホルダーにするかで迷い、ようやくキーホルダーに決めたあとはどの色にするかで迷う。
どちらかと言えば短気な翔。
どっちでもいいじゃんと言いたくなる気持ちを精一杯抑えて、智に付き合ってる。
散々悩んで青の土台を選んで席についた智。
そこからも智らしくマイペースに進めてる。
「智?こっちはどう?」
なかなか動かない智に痺れをきらした翔が口を出し始める。
「うーん、どうしようかなぁ…」
そんな翔の口出しもお構いなしの智。
そんな二人の様子を見ている潤。
焦れた翔の様子に助け船を出すことにした。
「翔さん、和、作り終わって雅紀と一緒に滑り台のある広場に行ったんだ。翔さん、交換しよ?」
潤は手にしているビデオカメラを差し出しながら言う。
「潤、いいの?」
「今朝、早かったからここで智の気の済むまで付き合いながらのんびりさせてもらうわ」
「んじゃお言葉に甘えさせていただきます!」
軽くウインクしながら言う潤に翔は喜色満面で答えると、ビデオカメラを手にアトリエ棟を飛び出していった。
「智、ゆっくり作っていいからね?」
潤は智の隣に座って言う。
「うん、潤くんありがとう」
智は嬉しそうに微笑んだ。