第7章 おべんとうばこのうた <双子6歳>
少しして翔が子供たちと一緒にリビングに降りてきた。
「ごめん、俺、何にもやらずに寝ちゃって…」
頭を掻きながら言う翔に雅紀は笑顔で言う。
「気にしない、気にしない。
出来る人がやればいいんだから。
それが、今日は俺だっただけ。
ほら、飯にしよ?今日はカレーね?」
「翔ちゃん、サラダね、僕お手伝いしたの」
どや顔で翔に言う智。
「おっ凄いじゃん?」
翔が大きな手で智の頭を撫でた。
「えへへへ」
智はそれはそれは嬉しそうに笑った。
「翔ちゃん、僕ね、公文終わったよ!
あとでピアノ聞いて!」
「お、それも凄いじゃん!
公文、いまなにやってるんだっけ?」
「カタカナ!終わったらね漢字って公文の先生言ってたよ」
「頑張ってるね!智も同じように進んでるの?」
「智はね、もう、漢字入ってるよ。でも算数は和の方が先に進んでる」
日頃、見てることの多い潤が説明する。
「ふーん、やっぱり個性がでるんだね?二人とも凄いじゃん!二人が頑張ってるの、凄く素敵だと思うよ?」
「ほんと、双子でも全然違うよね?和はピアノ好きみたいだけど智はどっちかっていうとピアノよりは歌う方が好きだしね?」
雅紀がカレーをよそいながら言う。
雅紀の一言に智が嬉しそうに返事した。
「うん、僕お歌好き!」と。