第7章 おべんとうばこのうた <双子6歳>
バタバタと支度をして、二人を保育園に送り届ける。
「二人とも今日も楽しんでおいで」
「うん、潤くんまたね!」
「潤くん、バイバイ!和、いこ!」
二人はあっさりと潤の前から友達のところに向かう。
あんなに泣いて、離れるのを嫌がったのはもう、過去の事なんだと改めて思った。
なんかその成長した姿をずっと眺めていたいと思うと逆の意味で後ろ髪を引かれる気分だった。
とはいえ、いつまでも留まっていられないのでその場を離れて駅に向かう。
今日は都内の事務所に行く日で、都内なら車よりも電車の方が色々小回りが利くので車を置いて潤は事務所に向かった。
「今日の予定は…」
スケジュール帳を確認しながら1日の動きを頭のなかでシミュレートする。
「夕方には帰れるな」
頭のなかで算段を付けて潤は翔にメールをして頭を仕事モードに切り替えた。
都内の事務所と裁判所、特許庁など、何ヵ所も回るとあっという間に時間は過ぎていく。
最後の打ち合わせを終えて保育園に戻ってきたのはもう夕刻。
昼過ぎにきたメールで翔が昼過ぎに家に戻ってきたのを知った潤はそのまま家で休むように伝えていた。
結局、昨日の朝から出勤した翔は丸一日以上仕事をして戻ってきたことになる。
子ども達が保育園にいる間ぐらいゆっくり休ませてあげたかった潤の提案に翔も遠慮なく乗った。