第7章 おべんとうばこのうた <双子6歳>
秋はどうしても保育園の行事が多い。
そのいずれもが基本は土曜日開催だけど年長になるとそれでもいくつかの行事は平日に開催される。
親子遠足ともう一つ、冬のイベントはどうやっても平日になる。
年度始めにはわかっているから、どこの家庭もある程度調整をつけて参加している。
幸いと言うべきか、大人が3人いるから誰かが調整すればなんとかなるけど…3人とも智と和也が好きだから二人を喜ばせたくて…。
多少の無理をしてでも参加する。
なんとか二人分の下準備が出来たところでまだ帰らない翔のことを心配しつつも寝ることにした潤。
軽い夜食をテーブルに用意して、眠りについた。
翌朝、いつもの時間に起きて朝食を準備する潤。
テーブルの上の夜食がそのままになっているのをみて
ため息をついた。
「翔さん、最近、無理しすぎじゃない?
大丈夫なのかな?」
「おはよーじゅんく、なにがだいじょーぶなの?」
起きてきた智が目を擦りながら小首を傾げる。
「潤くん、おはよぅ。ね?しょーちゃんは?」
和也が智の後ろから顔を出して聞いてくる。
「翔さん?翔さんはお仕事だな」
とりあえず心配しつつも現状を二人に伝える。
「二人とも、今、俺だけだから協力頼むな?」
潤の声に「「うん!」」と大きな声で返事した二人だった。