第7章 おべんとうばこのうた <双子6歳>
ブラバンを適当なサイズに切り、型紙を挟む。
次にオブラートをプラパンの上に置き霧吹きで少し湿らせ、濡らしたキッチンペーパーで抑える。
しばらくして少し乾いたところで細めの筆で色を乗せていく。
1枚だと滲みそうなのでオブラートをレイヤー状に重ねて色を付けていく。
最後にオブラートを乗せて…。
「うわっ滲んだ…やり直しか…」
基本的に写し絵と変わらないので絵心はほとんど問われないが案外難しい。
ため息をひとつついて、再度チャレンジする潤。
「やっぱり、この下絵…難しいのかなぁ…」
ぶつぶつとひとりごとを言いながらなんどもやり直す。
基本、完璧主義の潤。
何度も練習を繰り返しようやくコツが分かりはじめた潤は、作業自体が楽しくなり始めていた。
「ふたりとも喜ぶかなぁ…」
二人の笑顔を思い描きながら細かい作業を繰り返していく。
ようやく納得できるものが出来た。
「ふうぅ~案外時間がかかるなぁ…。
これ、このまま使おうかな?」
リハーサルのつもりだったがこれを明日もやると流石に時間的に厳しい。
なんとか2枚完成したし…。
ずっと同じ姿勢で作業して凝り固まった身体を伸ばしながら時計を見ると既に深夜0時を回っていた。
「翔さん、おそいなぁ…大丈夫なのかな?」
帰ってくる気配のない翔のことを考えた。