第7章 おべんとうばこのうた <双子6歳>
家に戻って夕飯の支度をしていると、インターフォンがなった。
潤が火を止めて玄関に向かう。
その後ろを智と和也が付いてくる。
宅配業者から荷物を受け取った潤は満足そうな顔をしていた。
「潤くん、それなに?」
「絵本??それとも塗り絵?」
有名なショッピングサイトのロゴの入った箱を見て、自分たちの絵本が来たのかとワクワク顔の智。
「ごめん、智。これは絵本でも塗り絵でもないんだ。
俺が仕事で使うものなの」
「そうなんだ…残念」
ちょっとガッカリした様子の智。
「欲しい絵本でもあったの?」
小さく頷く智に潤が言う。
「絵本はさ、今度本屋に行ったときに見てみよう?」
「うん!」
「和は?和もほしい!」
「もちろん、和もね?さ、ご飯食べよう?」
今日は雅紀は夜勤で、翔は親子遠足のために休みを取ったのでその分の仕事を前倒しでこなしてくるからと遅くなると予め予告されてる。
潤は二人に夕飯を食べさせ、風呂にいれ、双子の習い事の練習や宿題を見て寝かしつける。
全部を一人でやることは珍しいことで双子がある程度成長したとはいえ大変なことにはかわりない。
「ほんと、世のお母さんたちはすごいわ」
そんなことを思わず呟いた。