第7章 おべんとうばこのうた <双子6歳>
嬉しそうな顔でお菓子を選んだ和也とそんな和也が、わかってたいたのか一つだけ選んだお菓子を満足そうにみる智。
本当に双子って言うのは不思議な絆を持っていると思う。
潤はつくづくそう思った。
二人は一卵性の双子ではない。
そういう意味では良くある双子のようにそっくりで行動も一緒と言うわけではない。
同じ年の兄弟というだけといえばそれだけの二人。
喧嘩もするし、性格もかなり違う。
それでも二人だけのもつ不思議な空気のようなものがあって、お互いを上手く支え合っているようにみえる。
あんなことがあって両親をなくした二人。
これがもし一人だったらどうだったんだろうと潤は二人を見ながら思った。
「よし、二人とも、下さいなしに行くか?」
「うん、行く!」と和也。
「潤くん、ほかにお買い物ないの?」と智。
「和、お手伝いするよ?」
「さとも!」
「あっ、じゃあ、牛乳と食パン買わないと」
「僕、牛乳取ってくる!」
智が駆け出す。
「僕、食パン!いつものでしょ?」
和也も智を追いかける。
「ふたりとも、お店の中を走らない!」
潤の声が聞こえたのか一瞬止まった二人は早足で歩き出す。
そんな二人を潤がなんとも言えない顔で見つめていた。