第7章 おべんとうばこのうた <双子6歳>
「ま、まぁ、まだ先の話だし…少し、考えさせて?」
振り絞るように言う潤に双子が大きく頷く。
「取り合えず帰ろうか?」
雅紀の一言で皆で保育園を後にした。
…といったことがあってからおよそ1年。
この4月から保育園での最高学年になった智と和也。
毎月の行事に、年長として積極的に関与していく。
年長クラスだけの行事も沢山あって、その度に沢山の思い出を作り、親は終わると同時に聞こえる卒園の足音に切なさを感じる日々だった。
そして秋のイベント。
9月の終わりに無事、最後の運動会が終わり次はいよいよ智と和也が楽しみにしている親子遠足。
春頃に行き先のアンケートが取られ、結果、
保育園からバスで1時間位のところにある
大きな公園になった。
「ねぇ、ねぇ、パパ、アンデルセン公園、ふなっしーいるかなぁ」
行き先が決まった頃、智が翔に聞いていた。
「うーん、どうだろう?さすがにいないんじゃない?」
「そうなの?ね、パパはお仕事でふなっしーと会ったことある?」
和也が興味津々で聞いてくる。
「うーん、確か1回か2回ぐらいかな?スタジオで会ったことあるよ?」
「えーパパすごーい!」
智が尊敬のまなざしを向ける。
「ねー、潤くん!僕、ふなっしーでもいいよ?お弁当!」
和也が突然潤に向かって言い出した。