第7章 おべんとうばこのうた <双子6歳>
二人とも期待を込めたキラキラおめめで潤を見る。
言外に『キャラ弁を作ってくれ』と言っている。
潤は正直なところ動揺を隠せなかった。
確かに料理は器用にこなす。
ほかの家事も苦手ではない。
しかし…キャラ弁なるものはまったく勝手が違う。
食品を捏ね繰り回すようなことにも抵抗があるし何より、潤は不器用なのだ。
キャラ弁はもはや料理とは別の範疇にあると潤は思っている。
世の中的にこういったものが多いのは聞いていたがまさか自分に降りかかるとは思っていなかった。
しかし…子どもはこういったものが好きなのもまた事実。
潤はちょっと、いや、かなり困って二人に聞く。
「二人ともこういうのじゃないとだめなの?」
「ううん、ダメじゃないよ。でもさ、1度食べてみたいなぁ…」
子ども故の残酷さと言うところだろうか?
困った顔で固まってしまった。
「潤くん?どうしたの顔、ひきつってるよ?」
雅紀の声に思わず本音が漏れる。
「俺、昔から苦手なんだよ、立体製作…」
その様子を見て慌てて和也が言い出した。
「でも…潤くんが作ってくれるなら…普通のでいいよ。ね?さと?」
「うん、僕、潤くんの作るご飯大好き!世界一だよ!」
智も続く。
純粋な残酷さを持ち…でも空気を読むのが
上手な子ども達。
すかさずフォローするように言った。