第2章 Family ~ひとつになること <双子0歳>
スタジオにADさんの「お疲れさまでしたー」という声が響く。
翔が下げていた頭を上げた。
あぁ終わったんだ…。
そう思い改めてスタジオを見回す。
共演のゲストコメンテーターと東山が大きな花束を持って翔の前にやって来た。
「櫻井、お疲れさま。
最後のコメント、よかったよ」
東山が花束を渡しながら言う。
「櫻井さん、お疲れさまです。
イクメン、頑張ってくださいね?
また一緒にお仕事しましょうね?」
花束を渡しながらコメンテーターが言う。
受け取った花束を手にスタジオ中に響くような声で翔は言う。
「皆さん、本当にありがとうございました。
皆さんと番組を共にすることが出来て本当に感謝しています。
また、今回、私の都合でお休みを頂くことを許して頂き有り難うございます。
櫻井、イクメンになって戻ってきますので…またよろしくお願いしま~す!」
湿っぽかったスタジオは翔の最後の一言で笑いを含む暖かい空気に包まれた。
アナウンス部に戻り、荷物を纏める。
電話を一本入れて、最後に東山に挨拶をした。
アナウンス部はみんなそれそれのスケジュールで仕事をしているから皆が揃うことはまず不可能に近い。
放送前に休職の挨拶メールは入れたのであっさりと職場を出た翔。
そのままエレベーターで駐車場に向かう。
自分の車の前についた翔は車に乗り込まず誰かを待っていた。