第2章 Family ~ひとつになること <双子0歳>
師走はなぜか普段よりも忙しい。
今年の年の暮れは…更に輪がかかってる。
でも、仕方ない。
新しい一歩のためだから…。
12月最後の金曜日。
いつも通り夕方の生放送が始まる。
あの日も同じだった。
いつものようにニュース原稿を読み、世の中で起こっていることの一部を伝えていた。
まさか、そのニュースが自分の運命を変えるとは読んでいるときは想像だにしなかった。
あのあとから…伝えるということについて改めて考えた。
その思いの一端でも伝わるようにと日々、言葉を重ねてきた。
そして…番組のエンディング。
アナウンス部長の東山が約束したように翔に時間が与えられる。
思いを込めて…翔は口を開いた。
「これで今年のこの番組の放送は最後になります。
皆様、最後まで御覧いただき有り難うございます。
ここで、すこしだけお時間を頂きお伝えしたいことがあります。
来年からこの時間は小山アナウンサーがお伝えします。
すでにご存知のかたもいらっしゃると思いますが、私はしばらく番組を離れることになりました。
まだ男性では珍しいと言われている育児休職を頂きます。
しばらくの間、報道の現場を離れ、育児というフィールドで頑張ります。
育児を通してたくさんの経験をしそこで得たものを皆様にお伝えできる日を楽しみに過ごそうと思っています。
このような機会を与えてもらえたことは凄く幸せなことだと思っています。
私の都合でご迷惑をお掛けする方もたくさんいると思います。
本当に申し訳ありません。
いつかこの恩に報いれるように頑張りますのでこれからもよろしくお願いします。
次に皆様にお会いする時に自分の経験を自分の言葉で伝えられるようなアナウンサーでありたいとおもいます。
それでは皆様、よいお年をお迎えください」
深々とお辞儀をした翔。
数秒後、画面が切り替わり…放送は終了した。