第6章 ボクラノリアル <双子5歳>
「熱はないみたいだね?なんかあったの?」
翔が潤に向かって聞く。
「うん、昨日さ、保育園で…」
そこまで言った潤の言葉に被せるように和也が口を開いた。
「あのね、保育園で…僕…涼ちゃん、ペンしたの…」
「和が涼介くんをぶったの??珍しいね?」
翔が和也の言葉を一旦受け止める。
「パパ、和のこと怒っちゃだめ!」
聞いていた智が口をはさんだ。
「和、僕の絵がぐちゃってされたから…涼ちゃんに『めっ』したのに…涼ちゃんがやめないから…」
最後は涙声になってる智。
昨日は割りと冷静だったのにと潤はその様子をみている。
時間が経って悔しくなったのか?それとも別の感情か?
5歳にもなると感情の起伏も複雑になるらしい。
「智?泣かないの。パパ、怒ってないよ?
和もね?ペンはよくないけど智を守ったんでしょ?」
「うん、和、智が大好きだから!」
ナイト気取りの和也に苦笑しつつも翔が二人に聞く。
「で、二人とも涼介くんと仲直りできたの?」
人と人との関係なんてほんの小さなボタンの掛け違いで取り返しがつかないくらい縺れてどうしようもなくなることがあるから。
仲直りってすごく大切なんだと思う。
そんな気持ちで二人に聞いた。
折角の縁だから大事にしてほしいから…。