第6章 ボクラノリアル <双子5歳>
「お待たせ~」
千秋がグラスを手に戻ってきた。
莉那と潤の前に置くと徐に二人に聞く。
「なんの話、してたの?」
「潤がね、もういいのにまだ謝ってくるから…」
「あぁ…、そういうことね?
松本さんの気持ち、わかるわ。
でもさ、私ね、おもうの。
あの4人ってさ、兄弟みたいじゃない?
もっというとクラスの子どもたちってさみんな兄弟みたいな感覚だよね?もはや。
たぶんあの子達自身もね?
だって、保育園にいる時間って家にいるよりもずっと長くて、子どもにとっては、もはや人生のほとんどを一緒にいる特別な相手だと思うの。
兄弟なら喧嘩もするだろうし、時には手もね?
だから仲直りしたならそれでいいんじゃないかな、なんて思うけど…。
莉那ちゃんどう思う?」
「私もそう思う。
だからね、そんな気にしないで?」
「わかり…ました」
いまいち納得してない潤。
莉那がそんな潤に言う。
「喧嘩したことよりも仲直りのプロセスの方がずっと大事じゃない?
これから先、こんなこと何度もあるだろうし、そのうち、親の出番は無くなって自分たちで解決しなくちゃいけない時がくるよ?
だからさ、親側も見守るっていうことを身につけないとね?」