第6章 ボクラノリアル <双子5歳>
「翔さん、ロケで海外に行ってるんです」
智が靴を履くのを見ながら潤が答える。
「相葉先生、今日夜勤ですもんね?
なら問題ないですね?」
千秋が微笑みながら言う。
千秋は雅紀と同じ病院に勤める看護師をしている。
今はまだ、侑李が小さいのもあって外来担当をしているが雅紀曰く、非常に優秀な看護師らしい。
「はい、よくご存じで」
「相葉先生、よく話しかけてくれるの。
やっぱり子ども同士が同級生だからかな?
今日も帰りがけに会って『これからお迎え?』なんてね?
他の看護師からのやっかみはすごいけどそこはスルーしてる。
くやしかったら話しかけられるようにしてみろっていうの」
からから笑いながらさくっと凄いことを言う千秋。
「あっ、松本さん、今引いたでしょ?
ごめんなさいね?こんなこと女だらけの世界だと良くあるの」
「大変なんですね…」
「いや、そうでもないのよ。もう慣れたし」
「潤?ちーちゃんいじめたら承知しないからね?」
莉那がちゃちゃを入れてくる。
「そんなことしてないです、先輩…」
慌てる潤に莉那が追い討ちをかける。
「先輩じゃないでしょ?」
「はい、莉那さん」
「よろしい!さぁとりあえず移動しましょ?」
笑いながら莉那が言った。