第6章 ボクラノリアル <双子5歳>
「みんな、ちょっと待って」
涼介の母親が子ども達を静止する。
その様子を見て、侑李の母親が潤に声をかけた。
「松本さん、あの、もしよかったらお夕飯一緒にいきませんか?」
「金曜だし…たまにはって、さっきちーちゃんと話してて。
潤も良かったらどお?」
涼介の母が親しげに潤に声をかける。
「莉那先輩…」
複雑な顔をして潤が涼介の母に向かって言う。
なにか続けようとして言葉をのみ込んだ潤。
涼介の母親は弁理士で、担当分野が違うが、潤が以前、勤務していた事務所の先輩にあたる。
保育園で最初に会ったときは物凄く驚いたが、莉那のお陰でクラスの保護者の間にスムーズに入れたのも事実で、潤にとっては正直頭が上がらない相手の一人だったりする。
「よろこんで、ご一緒させてください…先輩」
潤の返事を聞いて、莉那が子ども達に声をかける。
「みんな、今日はお夕飯、外で食べるよ?」
「どこにしようか?」
そういって侑李の母親が幾つか子連れでも食べれる店をあげる。
「今日、櫻井さんは?」
子ども達がここがいい、あそこがいいと言いながら上着を着て、靴を履くのを手伝いつつ侑李の母、千秋が潤にたずねた。