第6章 ボクラノリアル <双子5歳>
そこへ涼介の母親が侑李の母親と部屋のなかに入ってきた。
女の子達がわらわらと二人のもとに集まる。
「涼ちゃんママぁ、今日ね、涼ちゃん、さとくんにいじわるしたんだよ!」
「侑李ママ、侑李ね、今日も涼ちゃんにツンデレだったの」
「だからね、涼ちゃん、すねてさっくんにいじわるしたの」
「で、和くんがおこって涼介君をペンしたんだよ!」
口々にいう女の子達の話でなんとなく分かった潤。
涼介の母親も侑李の母親も似たような表情を浮かべ潤をみた。
「あの…みんな、怪我はないです。
ちゃんと話をして4人とも分かったみたいで仲直りもしてます。
なのでそんなに叱らないであげてください」
伊野尾の言葉に頷く潤。
「あの、ところで、智と和也は?」
「すみません、今、ふたりにお使いを頼んでて、もうすぐ帰ってくると思います」
伊野尾の言葉に先に帰り支度を始める潤。
一方、涼介と侑李は部屋にいて既に母親の足元にいる。
涼介は若干ばつの悪そうな顔をしていた。
パタパタと足音が聞こえてきて、智と和也が手に絵本を持って部屋に入ってくる。
潤を見つけた智が声を上げる。
「じゅんくん、ただいま」
「おかえり。お手伝いしてたの?」
腕に抱えた絵本を見ながら聞くと、智は大きく頷いた。