第6章 ボクラノリアル <双子5歳>
保育園の入る建物のエントランスのドアをカードキーで、解錠しいつものようにエレベーターで保育室のある階に向かう潤。
双子たちのクラスが使っている玄関から中に入り、二人分のタイムカードの処理をする。
掲示板に貼られているその日の様子を書いた紙を眺め、次いでに明日の持ち物の確認も怠らない潤。
そして。ようやくお迎え。
いつものようにドアを開け、部屋に入ると双子たちよりも先に女の子達が足元に群がる。
このクラスのいつもの光景。
「ねーねーさっくんパパ、今日ねさっくん泣いたんだよ!」
「かずくんパパ、かずくんねきょう、けんかしてケイせんせいにしかられたんだよ」
クラスの子達はいつの間にか潤や雅紀のことも「智くんパパ」・「和也くんパパ」と呼ぶようになっていた。
子どもならではの順応力の高さと保育園の先生方の指導のお陰だろうと思う。
「かすくん、りょうちゃんのことたたいたんだよ!
りょうちゃんかわいそう」
いつものようにしっかり者の女の子達が口々に報告してくる。
「えっ和が涼介くんのこと、叩いたの?」
それは潤にとってちょっとした衝撃だった。
どちらかと言えば大人しいほうの部類に入る二人。
どちらかと言うと被害に会うことはあっても手を出すことはなかったはずなのにと潤は思う。
とにかく、話を聞かないとと教室を見回した。