第5章 Fantastic Version <双子2歳>
「確かにそうかもね…」
翔が隣にいる弟たちをみる。
「そうそう、俺たちも少々ずつ成長すればいいんじゃない?」
潤が和也の顔を覗きながら言う。
色々なことが複雑に絡み合って家族になった5人。
他所からみると、歪かも知れないけど…本人たちは、毎日幸せを感じている。
時にはぶつかるし、泣くことも、怒鳴ることもある。
それでも5人は家族になれて良かったと思っている。
駐車場まで歩く3人と腕の中の子どもたちを月明かりが照らす。
その後ろ姿は間違いなく、幸せな家族のものだった。
翌朝…。
いつものように出勤する翔。
「ぱぱ、ってらしゃい!」
「しょーちゃん、がんばって!」
結局、保育園を休むことにした智と和也は玄関で父親を見送る。
「うん、智も和もありがとうね?
二人ともちゃんと雅紀と潤の言うこと聞くんだよ?」
「うん!しゃと、いいこ!」
「かず、いいこ!」
「「ねー?」」
顔を合わせ笑いながら言う二人。
「じゃ、行ってくるね?
雅、潤、よろしくね!
あっ!あと、番組の録画宜しくね!
画質良いやつで!」
「大丈夫だよ、翔兄。既に予約済」
「二人のデビューだからね?
翔さんこそ気を付けて行ってね?」
「あぁ、ありがと!
んじゃ行ってきまーす!」
「「ってらっしゃーい!!」」
双子の声が響く玄関。
翔は声に押されて出社した。