第5章 Fantastic Version <双子2歳>
「ベビーカーは俺が押すからいいよ。
それではスモールワールドに出発!」
雅紀の明るい声に救われる。
シンデレラ城をくぐり抜けファンタジーランドにある、イッツ・ア・スモール・ワールドに到着した一行。
「二人とも起きてる?」
雅紀の声に双子たちは眠そうな声で「おっき、しゅる」と。
二人とも舌っ足らずな口調で正に寝る寸前といった感じ。
顔を見合わせる大人たち。
視線で交わす会話。
もう、帰れるね?と…。
人もほとんど並んでないアトラクション。
ほとんどスルーで乗り場まで来た。
時間帯のせいなのか?
ゲストの少ないスモールワールド。
まさかの一艘貸し切りで乗ることに。
雅紀が一列目に乗り、双子と翔と潤は3列目に乗り込む。
落ちないように大人が外側に乗り、智と和也は真ん中に座る。
ボートに乗って少しテンションが上がった智と和也。
でも心地よい音楽とボートの微かな揺れに徐々に瞼が落ちていく。
ずり落ちない様に翔と潤が支えるところを雅紀がビデオカメラに残す。
ボートが元の乗り場に着いたときには二人とも既に夢の中。
本当はベビーカーに乗せたいけど、乗せたら起きそうなのでそこは我慢。
雅紀がみんなの荷物とベビーカーを持ち、3人、並んで歩きながらエントランスへ向かった。